神戸発 腹ペコ通信

神戸を中心に、血糖値と財布の許す限り食べ散らかした日々。ほぼ日曜の朝発行。

カテゴリ: 和食

 和食が続きますが9/27(金)の夜に1年半ぶりの「料理人 がきさん」に行ってきました。この店はいつも僕の絵を飾ってくれているので嬉し恥かしの思いです。この日は特に立派な額縁に入れられてたので「誰の絵や?」と見入ったもんです。
 さて今夜は何にしようか。

〇お通しとしてひじき煮と釜揚げシラスが出ますが絵は割愛します。
〇お刺身3種盛り(1850円)
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左より鱧湯引き・平目・カンパチです。鱧はフワフワ、平目は立派な縁側、カンパチは脂のりが見事です。かねてより若い大将は魚の目利きを自慢してたけどさすがやね。

〇焼きソーセイジ (各660円)
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で右が鹿、燻香豊かなので僕の舌には区別がつきません。歯ごたえが有り、鹿の方が少し柔らかいかな。じんわり燻製味が拡がります。いつもの家のソーセイジの柔らかいことよ。

〇明石産穴子の白焼き(1540円)
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久しぶりの身の厚い穴子です。焦げ目の香ばしさ。この穴子を細く刻んで散らし寿司に入れたら堪らんやろなぁ。

〇中国産松茸の天ぷら(1870円)
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中国と言ってもチャイナでしょう。残念ながら香ゼロ、付け合せの椎茸・獅子唐・蓮根の旨さが目立ちます。今年の初物と期待してたのに。

回りはすでに満席です、追加の注文は時間が掛かりそうなので中途半端ですが〆としました。ビール中2杯と地酒一合で9845円なり。少し過ごし易くなりお客さんが出始めたようです。ゆっくり大将と話が出来るように今度は週初めにします。
                            哲

 お待たせしました、いよいよ「鮨」の出番です。絵の順は先週の「酒の肴」と少し入り混じっていますのでご了承ください。今週も知恵と工夫のオンパレードです、決して鮨は 酢飯に上に魚の切り身を乗っけただけのものではありません。絵ではズラリと並んでますが一貫ずつ出されますのでご了承を。

〇焼き巻き寿司・ツマ手巻き・赤身漬け・中トロ
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・焼き巻き寿司:胡麻油を両面に塗って焼いた物、鮨に香ばしさが加わるとこうなる。想像出来ますか。大将の発明品です。胡瓜が新鮮味を出し印象的。
・ツマ手巻き:刺身のツマをあつめてブーケにしたもので茗荷・大葉がアクセント。
・赤身漬け:赤身と山葵の間には柚子が散らしてあってこれが効く。マグロはカナダ産。
・中トロ:頃合いの熟成具合。冷蔵庫ではなくマグロ専用の木函で保管してました。

〇剣先烏賊と雲丹・甘海老・小肌・戻り鰹・蒸し穴子
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・剣先烏賊と雲丹:舌でそっと圧し潰すと上顎に雲丹の香りが、舌の上にすし飯が、真ん中からは細く刻まれた剣先烏賊が…混然一体の旨さ。
・甘海老:上に飾られたのは何匹かの甘海老の味噌。酒と白味噌で練ったもの、贅沢です。
・小肌:関西では殆ど見かけない鮨種。丁寧な処理で美しい鮨です。
・戻り鰹:脂のりの良い鰹、トッピングはおろし生姜とネギです。
・蒸し穴子:宮城産だったか分厚い身。蒸した後、身を笹の葉に載せて焼きます。更に皮目を炙ってパリッとさせる手の凝りよう。

〇〆鯖棒寿司
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・〆鯖棒寿司:浅い〆鯖で胡瓜・ガリ・大葉・ゴマ・葱を巻き込み皮目を炭で直接炙る。切り分けた後、海苔に載せてさあどうぞ…。

〇鮑に肝のせ・トロ沢庵・いくら・大トロ炙り
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・鮑に肝のせ:期待通りの鮑の歯触り、肝の香り、これでも地味に見えるから不思議。
・トロ沢庵:トロも沢庵も小口に切られてかぶり易い、大葉が味を整えてます。
・いくら:輝くいくらは金の山。胡瓜で嵩まししてないのは大将の心意気。
・大トロ炙り:醤油を塗り炭火で焼いて焦げ目を少し。多めの山葵に更に山葵のトッピング。

〇鳳凰美田と酒器
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・最後に日本酒は「鳳凰美田」(栃木県小山市小林酒造が醸す日本酒です。味わいはとてもみずみずしく、フルーティさが魅力)無濾過本生純米吟醸です。酒もさることながら酒器も旨さを引き立てます。

最後に沢庵一切れ。願わくば気の利いた甘味が欲しいところです。
今日は妻も飲みました。二人でビール・冷酒3種類三合・焼酎・クラフトジンとまだ足らんくらいです。生憎、向いのバーは定休日。後ろ髪を引かれながら〆としました。12100円のコースに酒を足して全部で29800円、いい勉強になりました、勉強大好き!

                               哲

 9/8(日)は十日遅れの僕の古希の祝いに妻と「鮨 きむら」を訪問しました。も少し早く来たかったのですが、台風10号の影響で魚が無いのではと慮ったからです。去年も同じ時期に来ました。やはり今年も「酒の肴」と「鮨」の2部に分けて描きました。
12100円のおまかせコースです。絵の順序は必ずしも出てきた順序ではありませんが大きく変わってもいませんのでご了承を。

〇酢の物・新生姜・鰻白焼き
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・お通しはカクテルグラスに入った酢の物です。タコ・鱧・ゲソ・パプリカ・茗荷・分葱・朧昆布と賑やかな歓迎です。タコの歯応えはサクッ、ゲソはコリッと印象的です。
新生姜は角切りで去年より刺激が強いと感じました。料理と料理の間の句読点です。
鰻白焼きは熱々です。蒸してから焼いてますが焦げ目が見当たりません。山葵かレモンで。皮パリッ、身フワッです。酢牛蒡には横に細かいスライスが入れてあり、口の中で扇のように開きます。

〇刺身(アコウ・甘鯛・ミンククジラ仙鳳趾真牡蠣)
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刺身は上のお通しの次にでてきます絵では盛合せですが、一種類ずつ出てきますのでじっくり味わえます。
アコウは一つは今日水揚げ、も一つは3日前に〆たもの、芽ねぎを巻いた身の歯応えに凄い差がありビックリです。
甘鯛は炭で皮目を焼いてます。目の前で炭を当てると香ばしい香りが漂います。
・久しぶりのミンククジラです。ルイベにし、細かい隠し包丁で食べ易くしてくれてます。姜醤油との相性抜群。
仙鳳趾(センポウシ)は釧路の東でこの時期でも真牡蠣がとれます。上質の昆布と低い水温で育った濃密な味で、ややくすんだ身が特徴です。これは刺身の〆として出ました。

〇本日のアラ 赤出汁
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・刺身となったアラ(アコウ・白甘鯛)ですが、最後に出てくる赤出汁の出汁になります。他に鰻の焼き骨・甘海老の焼き殻・蜆の出汁が加わって奥深い複雑な味です。ジュンサイと若芽が忍ばせてありました。

〇野菜と味噌・マグロの血合いと穴子の肝・鱧の卵の玉子とじ
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胡瓜・大根・里芋・水ナスを青唐辛子味噌で口を爽やかにします。
マグロの血合いと穴子の肝は普段は客に出さないものですが、明日は休みなのででサービスですと。時雨煮で山葵を付けていただきます。
鱧の卵にはアコウの皮と鱧の肝が少し加えてあります。気づきませんでしたが。

〇茶碗蒸し 
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茶椀蒸しは鱧の身・梅肉・アオサが餡かけで彩りとなり穏やかな味わいです。

以上が「酒の肴」です。順序は絵の都合で少し入り乱れましたが一つ一つに大将の思いが込められた品です。そして本来なら「捨てるもん」を生き返らせる腕の見せ所です。他の寿司屋では感じられない驚きと感心のひと時です、これが付加価値なんやろな。
では次週の「鮨」編にご期待あれ。もっと凄いよ…。
                          哲

 台風10号が過ぎた酷暑の9/05(木)は2年ぶりの「手仕事屋」で昼食です。 最近は冷たいもんばかり食ってます、今日は蕎麦と決めました。11:15の開店一番乗りですが、10分もせぬ内に満席で、よく流行ってます。

〇二八天せいろ (2200円)
240905手仕事屋1
 細切りの二八蕎麦は量もたっぷり。通ぶって何も付けずに口に運ぶとせせらぎの爽やかな 喉越し、思わず四分の一程を一息に手繰ります。付け汁はキリッと濃口です。天ぷらは名物の大きな海老一尾・鱧天二切れ・茄子・薩摩芋・海苔と勢ぞろい。どれも熱々、鱧はふわふわ、海老がぶり、値打ちやねぇ。塩・葱・山葵・冷奴がお供です。

〇ぶっかけおろし蕎麦(2000円)
240905手仕事屋2
 蕎麦は玄挽きの太目で、大蛇のようにとぐろを巻いて、上の青葱・花かつお・おろし大根は混ぜられるのを待ち構えています。やや黒目の蕎麦はたっぷりの汁を抱き込んで口の中で暴れます。さらには塩・うずら・天かす・冷奴も・・・。天ぷらは大海老・茄子・薩摩芋・海苔です。

どちらも一気に掻きこんだので、一息ついて蕎麦湯です。温かい蕎麦湯は体を元に戻します。 これが整うというのでしょうか。満腹満足のひと時でした、外には炎天下の行列です。

                             哲

 ご機嫌いかがですか、お待たせしました。先週の「薪焼き はし本」の佳境の始まりです。今週もコメントが長くなりますが是非お味わいください。

④レバーとニラお浸し・炙り長芋とズッキーニ・スープ
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レバーは今日初めての照り醤油味、コロンとしていてとろけます。レバー嫌いの妻が残すかと待ってましたが最後にパクリ!
・初めての炙り野菜も一味違う、これは減圧調理で昆布出汁を仕込んであるとの事。こうなれば科学料理です。
スープは牛と鰹の出汁のみの茶碗蒸し風。味に自信があるので具材無し、なるほど!

⑤お肉の手巻き・ハラミと大根鬼おろし・焼きトマト
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・さり気なくサーロインミンチと燻りがっこの細巻き。絵は海苔が開いた状態です。
・もちろんハラミは旨いけど鬼おろし大根はお代わりしたいほど。聞けば50℃で蒸してから摺り下ろすとの事。柔らかなのにザクザク感ありです。
・最初大粒の梅干しかと思ったけど、口に含むと酸味がなく甘さが爆発。皮むきドライトマトを米酢の出汁で調理したとのこと。

⑥土鍋ご飯に卵黄とリブロース
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・ご飯を見た途端に白ワインをお代わりしたのは初めて。とろける玉子と男前の肉をおかずに何たる贅沢。

⑦焼きお握りと肉そぼろ・牛乳のジェラートにウイスキー掛け
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焼きお握りは半分食べて、後は鰹と肉を0℃で抽出した出汁茶漬け
土鍋に残ったご飯は塩握りにしてお土産に。
・〆は燻製した牛乳のジェラートです!それに何と「イチローズモルト」の白ラベルを一匙たらして。器の底の最後の一口に集まったウイスキージェラートに拍手!

貸切状態で大将の話を聞けて、お料理はまるで科学か理科の授業のようです。今まで経験したことのない調理・料理の連続です。大将は理科系の大学卒とのこと。今夜は妻も飲みました、ビール・白ワイン・日本酒・ハイボール・ロック…。お肉が多く出ましたけれど白ワインと馴染む旨さです。ほろ酔いで28000円、出口の脇に積んであった薪が印象的な夜でした。また貸し切りだと嬉しいけれど。

                         哲
【編集後記】
 この店で料理の認識が一変しました。僕は菓子作りは科学だと思ってましたがなるほど調理も科学です。また薪は単なる熱源ではなく調理方法であり道具です。実際、炎で焼いたり離して炙ったり、熾火と霧吹き水でゆっくり温めたり…。大将はご実家が精肉店でええ肉中心となってます。野菜も生で出たものは最初のペリーラだけです。料理が少しずつサービスされるのも単品の技をじっくり味わう仕掛けでしょう。
久しぶりに感動しました。

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