さて今年の喰い初めは鰻です。妻のリクエストと巷の噂で良く聞く「鰻の成瀬 神戸甲南店」に1月8日に行って参りました。行列覚悟の開店直後でしたが一組目の客となりました。
この店は某局の「カン○○○宮殿」で取り上げられ視たことがあり興味を持ってました。それによると輸入製品の仕上げのみ店頭で行っているようです。「国産」の鰻もありましたが、価格は普通に高いです。とにかく安く鰻を提供すると評判ですし丁度鰻がたべたいな、のタイミングです。品書きには「並・上・特(国産)」と品質別、「松・竹・梅」と鰻の量別の9種があり、二人とも真ん中の「上うな重(3/4尾)2500円」を選びました。5分程で運ばれてきます。

○上うな重(3/4尾)2500円
250108鰻の成瀬
蓋を開けると米粒も隠れんばかりの具合で声が出そうなぐらいデカい鰻が横たわってます。鰻はふっくらと柔らかく、胡瓜の漬け物・生姜の桜漬け・ネギと山葵に若芽と麩のお椀が付いてこの価格!安ッ!です。特にネギと山葵は「ひつまぶし」の雰囲気も出しています。卓上にはぶどう山椒とおろし柚子粉、追いだれもあります。至れり尽くせりのサービスです。妻は僕より早く食べ終えました。

とまあここまでは満点ですが僕は食べながら考えたことがあります。
あくまで私見ですが…。
鰻の焦げた香りが今一つしないということです。輸入鰻の半製品を特殊な機械で温めて提供されますので、焼きの工程がありません。よって鰻にも目立った焦げ目が無く、仕上げにオーブンで均等に加熱されたのでしょうか。火に炙られてないので鰻がダラリと寝そべったままです。キュッと縮んだりそっくり返ったり活きの良さが感じられません。直焼き工程が無いのでカウンターの前には簾が降りていて厨房が見えません。当然、香しい煙もありません。鰻屋さんの大切な情緒が欠けていると感じました。

 けれど安く満足できることと失った情緒とうまく自分の中でバランスを取ればいいでしょう。
余裕のある時には昔ながらの店でリッチに情緒も楽しみ、ない時には「鰻の成瀬」で鰻だけを楽しむ。鰻のファストフードです。鰻への餓鬼感で次に来店するのはいつでしょうか?
                         哲