神戸発 腹ペコ通信

神戸を中心に、血糖値と財布の許す限り食べ散らかした日々。ほぼ日曜の朝発行。

2024年10月

 9/27の夜は2軒目に「B’s(ビーズ)」という店に寄りました。
お酒も食事ももう少しいけそうでしたから趣をかえてみようと。この店とは30年来の付き合いで阪神大震災の後、落ち着いた頃に初めて訪問しました。
 決して広く明るくはなくカウンターに洋酒が並び、綺麗な奧さんとマスターだけの静かな店です。(奧さまは10年ほど前にお亡くなりになりました)頻繁には来てませんが、馴染みの店としては僕の中では一番旧いでしょう。いつも満席でなく、若者中心だけど落ち着いた雰囲気の狭い店です。ちなみに店で知り合った友人はいません。

〇クリームチーズの冷奴(680円)
240927ビーズ1
昔からあって一番のお気に入りです。角切りのクリームチーズにスライスオニオン・花鰹・ネギ・醤油を一回し。味は想像の通りですが癖になります。絵は少し大盛です。

〇オムライス(880円)
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注文を聞いてからはカウンターの中でトントンと玉葱やハムを刻む音、シャカシャカ玉子を溶く音、ジャッジャッとご飯を炒める音、ケチャップの焦げる香…、この音だけでも酒のアテになります。皿の山水画模様とオムライスの向きが無頓着なのはご愛敬。

5年ぶりでしたが昔のままで懐かしい思いで酔いました。妻と二人でジントニック2杯、クラフトウイスキー3杯、角ハイ1杯、それにカッコ良いTシャツ1着。ぜーんぶで8125円、安さも昔と変らんなァ。

                              哲
【編集後記】
 この店には入口が二つあり、夕方までちいさなブティックが併設されています。頼んで僕に似合いそうなTシャツを見せてくれました。ほろ酔いの客は気前良いそうです。マスター一人でランチもやりくりなさっていて、ランチのカレーはナント590円です。 聞けば僕より年上ですが、カッコよくサイクリング車で通っていて憧れてしまいます。
摂津本山駅北、線路沿い東に徒歩30秒ですので是非! 怖くないですから。

 和食が続きますが9/27(金)の夜に1年半ぶりの「料理人 がきさん」に行ってきました。この店はいつも僕の絵を飾ってくれているので嬉し恥かしの思いです。この日は特に立派な額縁に入れられてたので「誰の絵や?」と見入ったもんです。
 さて今夜は何にしようか。

〇お通しとしてひじき煮と釜揚げシラスが出ますが絵は割愛します。
〇お刺身3種盛り(1850円)
240927がきさん1
左より鱧湯引き・平目・カンパチです。鱧はフワフワ、平目は立派な縁側、カンパチは脂のりが見事です。かねてより若い大将は魚の目利きを自慢してたけどさすがやね。

〇焼きソーセイジ (各660円)
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で右が鹿、燻香豊かなので僕の舌には区別がつきません。歯ごたえが有り、鹿の方が少し柔らかいかな。じんわり燻製味が拡がります。いつもの家のソーセイジの柔らかいことよ。

〇明石産穴子の白焼き(1540円)
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久しぶりの身の厚い穴子です。焦げ目の香ばしさ。この穴子を細く刻んで散らし寿司に入れたら堪らんやろなぁ。

〇中国産松茸の天ぷら(1870円)
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中国と言ってもチャイナでしょう。残念ながら香ゼロ、付け合せの椎茸・獅子唐・蓮根の旨さが目立ちます。今年の初物と期待してたのに。

回りはすでに満席です、追加の注文は時間が掛かりそうなので中途半端ですが〆としました。ビール中2杯と地酒一合で9845円なり。少し過ごし易くなりお客さんが出始めたようです。ゆっくり大将と話が出来るように今度は週初めにします。
                            哲

 お待たせしました、いよいよ「鮨」の出番です。絵の順は先週の「酒の肴」と少し入り混じっていますのでご了承ください。今週も知恵と工夫のオンパレードです、決して鮨は 酢飯に上に魚の切り身を乗っけただけのものではありません。絵ではズラリと並んでますが一貫ずつ出されますのでご了承を。

〇焼き巻き寿司・ツマ手巻き・赤身漬け・中トロ
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・焼き巻き寿司:胡麻油を両面に塗って焼いた物、鮨に香ばしさが加わるとこうなる。想像出来ますか。大将の発明品です。胡瓜が新鮮味を出し印象的。
・ツマ手巻き:刺身のツマをあつめてブーケにしたもので茗荷・大葉がアクセント。
・赤身漬け:赤身と山葵の間には柚子が散らしてあってこれが効く。マグロはカナダ産。
・中トロ:頃合いの熟成具合。冷蔵庫ではなくマグロ専用の木函で保管してました。

〇剣先烏賊と雲丹・甘海老・小肌・戻り鰹・蒸し穴子
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・剣先烏賊と雲丹:舌でそっと圧し潰すと上顎に雲丹の香りが、舌の上にすし飯が、真ん中からは細く刻まれた剣先烏賊が…混然一体の旨さ。
・甘海老:上に飾られたのは何匹かの甘海老の味噌。酒と白味噌で練ったもの、贅沢です。
・小肌:関西では殆ど見かけない鮨種。丁寧な処理で美しい鮨です。
・戻り鰹:脂のりの良い鰹、トッピングはおろし生姜とネギです。
・蒸し穴子:宮城産だったか分厚い身。蒸した後、身を笹の葉に載せて焼きます。更に皮目を炙ってパリッとさせる手の凝りよう。

〇〆鯖棒寿司
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・〆鯖棒寿司:浅い〆鯖で胡瓜・ガリ・大葉・ゴマ・葱を巻き込み皮目を炭で直接炙る。切り分けた後、海苔に載せてさあどうぞ…。

〇鮑に肝のせ・トロ沢庵・いくら・大トロ炙り
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・鮑に肝のせ:期待通りの鮑の歯触り、肝の香り、これでも地味に見えるから不思議。
・トロ沢庵:トロも沢庵も小口に切られてかぶり易い、大葉が味を整えてます。
・いくら:輝くいくらは金の山。胡瓜で嵩まししてないのは大将の心意気。
・大トロ炙り:醤油を塗り炭火で焼いて焦げ目を少し。多めの山葵に更に山葵のトッピング。

〇鳳凰美田と酒器
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・最後に日本酒は「鳳凰美田」(栃木県小山市小林酒造が醸す日本酒です。味わいはとてもみずみずしく、フルーティさが魅力)無濾過本生純米吟醸です。酒もさることながら酒器も旨さを引き立てます。

最後に沢庵一切れ。願わくば気の利いた甘味が欲しいところです。
今日は妻も飲みました。二人でビール・冷酒3種類三合・焼酎・クラフトジンとまだ足らんくらいです。生憎、向いのバーは定休日。後ろ髪を引かれながら〆としました。12100円のコースに酒を足して全部で29800円、いい勉強になりました、勉強大好き!

                               哲

 9/8(日)は十日遅れの僕の古希の祝いに妻と「鮨 きむら」を訪問しました。も少し早く来たかったのですが、台風10号の影響で魚が無いのではと慮ったからです。去年も同じ時期に来ました。やはり今年も「酒の肴」と「鮨」の2部に分けて描きました。
12100円のおまかせコースです。絵の順序は必ずしも出てきた順序ではありませんが大きく変わってもいませんのでご了承を。

〇酢の物・新生姜・鰻白焼き
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・お通しはカクテルグラスに入った酢の物です。タコ・鱧・ゲソ・パプリカ・茗荷・分葱・朧昆布と賑やかな歓迎です。タコの歯応えはサクッ、ゲソはコリッと印象的です。
新生姜は角切りで去年より刺激が強いと感じました。料理と料理の間の句読点です。
鰻白焼きは熱々です。蒸してから焼いてますが焦げ目が見当たりません。山葵かレモンで。皮パリッ、身フワッです。酢牛蒡には横に細かいスライスが入れてあり、口の中で扇のように開きます。

〇刺身(アコウ・甘鯛・ミンククジラ仙鳳趾真牡蠣)
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刺身は上のお通しの次にでてきます絵では盛合せですが、一種類ずつ出てきますのでじっくり味わえます。
アコウは一つは今日水揚げ、も一つは3日前に〆たもの、芽ねぎを巻いた身の歯応えに凄い差がありビックリです。
甘鯛は炭で皮目を焼いてます。目の前で炭を当てると香ばしい香りが漂います。
・久しぶりのミンククジラです。ルイベにし、細かい隠し包丁で食べ易くしてくれてます。姜醤油との相性抜群。
仙鳳趾(センポウシ)は釧路の東でこの時期でも真牡蠣がとれます。上質の昆布と低い水温で育った濃密な味で、ややくすんだ身が特徴です。これは刺身の〆として出ました。

〇本日のアラ 赤出汁
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・刺身となったアラ(アコウ・白甘鯛)ですが、最後に出てくる赤出汁の出汁になります。他に鰻の焼き骨・甘海老の焼き殻・蜆の出汁が加わって奥深い複雑な味です。ジュンサイと若芽が忍ばせてありました。

〇野菜と味噌・マグロの血合いと穴子の肝・鱧の卵の玉子とじ
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胡瓜・大根・里芋・水ナスを青唐辛子味噌で口を爽やかにします。
マグロの血合いと穴子の肝は普段は客に出さないものですが、明日は休みなのででサービスですと。時雨煮で山葵を付けていただきます。
鱧の卵にはアコウの皮と鱧の肝が少し加えてあります。気づきませんでしたが。

〇茶碗蒸し 
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茶椀蒸しは鱧の身・梅肉・アオサが餡かけで彩りとなり穏やかな味わいです。

以上が「酒の肴」です。順序は絵の都合で少し入り乱れましたが一つ一つに大将の思いが込められた品です。そして本来なら「捨てるもん」を生き返らせる腕の見せ所です。他の寿司屋では感じられない驚きと感心のひと時です、これが付加価値なんやろな。
では次週の「鮨」編にご期待あれ。もっと凄いよ…。
                          哲

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