神戸発 腹ペコ通信

神戸を中心に、血糖値と財布の許す限り食べ散らかした日々。ほぼ日曜の朝発行。

2024年09月

 台風10号が過ぎた酷暑の9/05(木)は2年ぶりの「手仕事屋」で昼食です。 最近は冷たいもんばかり食ってます、今日は蕎麦と決めました。11:15の開店一番乗りですが、10分もせぬ内に満席で、よく流行ってます。

〇二八天せいろ (2200円)
240905手仕事屋1
 細切りの二八蕎麦は量もたっぷり。通ぶって何も付けずに口に運ぶとせせらぎの爽やかな 喉越し、思わず四分の一程を一息に手繰ります。付け汁はキリッと濃口です。天ぷらは名物の大きな海老一尾・鱧天二切れ・茄子・薩摩芋・海苔と勢ぞろい。どれも熱々、鱧はふわふわ、海老がぶり、値打ちやねぇ。塩・葱・山葵・冷奴がお供です。

〇ぶっかけおろし蕎麦(2000円)
240905手仕事屋2
 蕎麦は玄挽きの太目で、大蛇のようにとぐろを巻いて、上の青葱・花かつお・おろし大根は混ぜられるのを待ち構えています。やや黒目の蕎麦はたっぷりの汁を抱き込んで口の中で暴れます。さらには塩・うずら・天かす・冷奴も・・・。天ぷらは大海老・茄子・薩摩芋・海苔です。

どちらも一気に掻きこんだので、一息ついて蕎麦湯です。温かい蕎麦湯は体を元に戻します。 これが整うというのでしょうか。満腹満足のひと時でした、外には炎天下の行列です。

                             哲

 今週の腹ペコ通信はお店と料理の紹介ではありません。

『激突めし上がれ』(8月21日放送)というNHKの番組で(自作カレーの極み)と付けられたサブタイトルの元、百名余りのアマチュアによる自作カレーガチ対決がなされました。

そこで見事優勝なさった方のカレーの紹介です。

番組は単なるコンテストではなく各々の人生も絡めた奥深いものです。

その優勝者こそ僕がお世話になっている「まつお眼科」の若い女性の医院長です。
「先生、優勝まことにおめでとうございます」

それではその優勝作『インド愛(EYE)あふれる夏野菜プレート』をご覧ください。
プレートの左下から時計回りに8種類のパーツから構成されています。それぞれに添えてあるのは僕の勝手な『妄想食後感想文』です、なんせ食べてませんので。
240821松尾カレー1

①万願寺とうがらしのビンダルー

 肉・魚などをニンニクとワインまたは酢で煮こんだカレー料理です。

 焼き万願寺とトッピングの万願寺ピュレのソースは単純な酸っぱさ
 に変化を付けます。探れば柚子胡椒も居るではありませんか。
 ココナッツライスと合わせると酸味・青臭さ…甘
さ…のカオスで、
 たちまちインドの裏路地に迷いこみます。

②四葉きゅうりと冬瓜のココナッツカレー 鮎の魚醬

 胡瓜は種を取り輪切りにし、3秒間だけ素揚げにするこだわりよう。
 パリポリ感がいかされて冬瓜の柔らかさと好対照です。鮎の魚醬の
 微かな苦さはインドに飛びそうな魂をかろうじて引き止めます。

 味噌汁感覚で口に含みましたが、表面に浮かんだ辣油のようなヤツが
 暴れはじめます。
③茄子とピーマンのサブジ
 サブジとは野菜をスパイスで炒めたり蒸したりのインド料理。    
 なるほど野菜炒めだけど、茄子とピーマンを盛り立てるこの複雑な味
 こそインドです。

④コリンキーとズッキーニのサラダ 自家製チャットマサラ

 マンゴーやザクロの爽やかな酸味と塩味の利いた手間の掛かった
 チャットマサラと野菜の冷たさが一息つかせてくれます。
 
⑤鳥のチキンアチャール
 タマネギ、生姜、にんにく、香辛料を混ぜ合わせてた衣で鶏肉を
 揚げています。 余韻のある味わいで、これをツマミにインドの
 ビールを一杯というところ。

⑥ゴーヤとオクラのパコラ、自家製パプリカパウダー添え
 天ぷらです。ソース上の赤いのはパプリカをプロセッサーで微粉末に
 したものです。この手法は松尾ドクターのオリジナルで、こうすると
 凝縮された香が一気にひろがります。この手法は審査員のシェフが
 「自分の料理にパクるぞ」と宣言してました。
⑦ココナッツ香るライス
 サラリとしたインディカ米はカレーには必須アイテムですが、ココナ
 ツで甘さをプラス。これで強烈なスパイスを受け止めます。
 上の細切ドライパプリカとインゲンがニクイね。

⑧仁淀川山椒香るデュカ

 ライスの端に少し振ってあります。ナッツ類・スパイス・塩をミック
 スしたものに最強の仁淀川山椒を加えると懐かしさと充足感が満ちて
 きます。


いつもより長い文章になりましたが、勝手に妄想を巡らせました。

もう少しでインドの混沌に溶けてしまいそうでしたが、そこここに隠された「和」が意識をつなぎとめてくれました。

番組でもその「和印折衷」が高く評価され優勝に導かれたようです。

優勝できなかったお二人のカレーも妄想で楽しませていただきました。

ごちそうさまでした。
240821松尾カレー2


                            

【編集後記】

最終選考に残られた3名の自作カレーに対する執念は強く心に残りました。もはや趣味とか道楽を超えています。プロと違うのは「金を出しても食べられない」のなんとも贅沢な点です。近い将来ひょっとして娘さんか息子さんがこのカレーでインドに出店…。
店名はGANKAが何となくインド風でしょぅ。

 珍しく小雨模様の8/20の夜は「椰林(ヤーリン)」です。孫含む一家で久しぶりの外食です。この店は5月の(腹ペコ通信501号)でご案内しましたが、ゆったりした広さで小さな子連れも気にならんのでここに決めました。勿論味は前回で保証つきです。コースは一人前8690円の「夏限定コース」を選びました。お酒や孫の焼きそばなどの紹介は省きコース料理のみ説明をします。(腹ペコ通信501号)と重複した品●印は絵を割愛させていただきました。

椰林前菜の盛り合わせ
 これは腹ペコ通信501号の物と同じです。どれも穏やかな風味で良い予感を導きます。
蟹肉入りフカヒレのスープ
 蟹肉とフカヒレは玉子でとろりと溶いてます、それぞれは思った以上の量が入っています。この皿だけで腹が膨れます。
○和牛サーロインスーテキ
240820ヤーリン3
 名刺より二回り大きいお肉が二切れ、丸焦げのようですが醤ソースで仕上げられてます。柔らかく肉自体の旨味が印象的です。下にはエリンギが隠れてますがこれも熱々です。

○鮑料理
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 蒸し鮑に添えてある夏野菜が賑やかで、鮑の弾力と柔らかさはまるでトランポリンです。優しいニンニクの香りも聞こえます。

○海鮮料理
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 新鮮な鯛の天ぷらに大きな半生の帆立貝柱がごろり。青梗菜やスープの春雨との相性もよろしいなァ。白飯が欲しくなります。

椰林特製炒飯
 海老・小柱・中華ハム・玉子などが葱油で程良く炒められてます。よっぽどの手早さでしょう。
香港式菓子と冷たいデザート
 
お腹一杯で胡麻団子はお持ち帰りにしました。が、フルーツ(スイカ・マスカット・マンゴー)に飾られたココナツミルクの杏仁豆腐は別腹にトゥルリと納まりました。

 実は僕の誕生祝いでしてヒマワリの花束や静岡のクラフトウィスキーを頂きました。「ああ、こんな歳になったか…」が実感です。残り時間は静かに妻と過ごしたいものです、チャンチャン!
我が子孫たちよありがとう、ご馳走様でした。
またの機会を待ってます。
                         哲                

 8/15(木)は里帰りしてた孫がお出かけの間に妻と「レストラン スドウ」を訪問。ここ暫くはフレンチから遠ざかっていましたので、おすまし顔した料理は久しぶりで、少しワクワクします。10名ほどの席数ですが七割の入りです。さて、ランチのB(デジュネB)4730円をいただきましょうか。

自家製フルーツシロップのソーダ割り(別料金)240815スドウ1
カウンターにズラリと並んだ五つのボトル、レモン・ピンクグレープフルーツとオレンジ・ブルーベリー・新生姜・パインナップル。とても口当たり良く酷暑を忘れます。今日は二人ともノンアルにしてよかった。

●本日のアミューズ(絵はありません)
鴨とポークのソーセイジ、カナッペ仕立て。ほんの一口なのに濃厚な味わい。

〇白桃、生ハム、マスカルポーネ プロバンスの香り
240815スドウ2
桃は生ハムに包まれて甘さと塩味が絡み合います。桃のピューレのソースが味を締めくくります。ドライトマトは日光を凝縮したような味わい、スパイスと3時間も低温のオーブンで乾燥させたそうです。

冷製ポタージュとライ麦パン
240815スドウ3
ゴールドラッシュという白いコーンのスープです。器の底には生のコーンが隠れてて舌を驚かせます。

国産牛グリルステーキ 赤ワインソース(選択制)
240815スドウ4
手先がやや不自由な僕の為にカットしてくださいました。見事なミディアムレアです。分かりにくいですがやさしい香りのホワイトセロリの新芽が添えられてます。

夏野菜たっぷりの仔羊の煮込み(選択制)
240815スドウ5
あまりの柔らかさに驚きました、微かに羊の肉の香りを楽しみます。
ステーキも煮込みもパンで綺麗にお皿をぬぐいました。

一口デザート カシスのアイスとクレームブリュレ 〇エスプレッソ
240815スドウ6
一口デザートの レモンジュレには刻んだ林檎の赤ワイン煮・洋梨のソルベの上には自家製林檎のチップス。いつもこの店のおまけみたいな「一口デザート」には感心させられます。
コーンフレークに横たわるカシスの溶け加減はベストで、ブリュレの薄氷を割るときはゾクゾクします。

今はサービス期間でランチは泡・赤・白ともに1杯500円なのでよっぽど楽しもうかと思ってましたがノンアルにして正解。店の外は酷暑で一たまりもありません。マダム特製のフルーツサワーで午後は快適にすごせました。本日は〆て11660円也。
 この号をご覧いただくのはもう9月半ばです。まだまだ秋とは言えない気温ですが、喰いもんはこれからどんどん旨くなります。早く涼しくなってくれんかなぁ。

                          哲

 ご機嫌いかがですか、お待たせしました。先週の「薪焼き はし本」の佳境の始まりです。今週もコメントが長くなりますが是非お味わいください。

④レバーとニラお浸し・炙り長芋とズッキーニ・スープ
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レバーは今日初めての照り醤油味、コロンとしていてとろけます。レバー嫌いの妻が残すかと待ってましたが最後にパクリ!
・初めての炙り野菜も一味違う、これは減圧調理で昆布出汁を仕込んであるとの事。こうなれば科学料理です。
スープは牛と鰹の出汁のみの茶碗蒸し風。味に自信があるので具材無し、なるほど!

⑤お肉の手巻き・ハラミと大根鬼おろし・焼きトマト
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・さり気なくサーロインミンチと燻りがっこの細巻き。絵は海苔が開いた状態です。
・もちろんハラミは旨いけど鬼おろし大根はお代わりしたいほど。聞けば50℃で蒸してから摺り下ろすとの事。柔らかなのにザクザク感ありです。
・最初大粒の梅干しかと思ったけど、口に含むと酸味がなく甘さが爆発。皮むきドライトマトを米酢の出汁で調理したとのこと。

⑥土鍋ご飯に卵黄とリブロース
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・ご飯を見た途端に白ワインをお代わりしたのは初めて。とろける玉子と男前の肉をおかずに何たる贅沢。

⑦焼きお握りと肉そぼろ・牛乳のジェラートにウイスキー掛け
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焼きお握りは半分食べて、後は鰹と肉を0℃で抽出した出汁茶漬け
土鍋に残ったご飯は塩握りにしてお土産に。
・〆は燻製した牛乳のジェラートです!それに何と「イチローズモルト」の白ラベルを一匙たらして。器の底の最後の一口に集まったウイスキージェラートに拍手!

貸切状態で大将の話を聞けて、お料理はまるで科学か理科の授業のようです。今まで経験したことのない調理・料理の連続です。大将は理科系の大学卒とのこと。今夜は妻も飲みました、ビール・白ワイン・日本酒・ハイボール・ロック…。お肉が多く出ましたけれど白ワインと馴染む旨さです。ほろ酔いで28000円、出口の脇に積んであった薪が印象的な夜でした。また貸し切りだと嬉しいけれど。

                         哲
【編集後記】
 この店で料理の認識が一変しました。僕は菓子作りは科学だと思ってましたがなるほど調理も科学です。また薪は単なる熱源ではなく調理方法であり道具です。実際、炎で焼いたり離して炙ったり、熾火と霧吹き水でゆっくり温めたり…。大将はご実家が精肉店でええ肉中心となってます。野菜も生で出たものは最初のペリーラだけです。料理が少しずつサービスされるのも単品の技をじっくり味わう仕掛けでしょう。
久しぶりに感動しました。

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